2018 Lake Louise Acute Mountain Sickness Score
     (レイクルイーズAMSスコア2018年改訂版)

2018年6月1日 高山病と関連疾患の診療ガイドライン作成委員会

 AMSの定義やスコアリングの適切性には議論の余地があり、新たにLLS2018が提唱された。日本登山医学会はこの分野の研究発展に寄与する目的で、その概要と留意点を和訳し公開する。

2018 Lake Louise Acute Mountain Sickness Score
頭痛


まったく無い
軽度
中程度
激しい頭痛
胃腸症状


食欲良好
食欲がない、吐き気がある
かなり吐き気がある、嘔吐
絶えられないほどの吐き気と嘔吐
疲労・脱力


まったく無い
少し感じる
かなり感じる
耐えられないほど感じる
めまい・ふらつき


まったく無い
少し感じる
かなり感じる
耐えられないほど感じる

AMS臨床機能スコア
(AMSの症状が、どの程度行動に影響したか)
 


まったく影響しなかった
症状はあるが、その後の行動や工程には影響しなかった
症状のために、登高を止めたか、自力で下山した
低地へ下ろしてもらわねばならなかった


AMSの診断と評価

  • 睡眠障害を省いた4症状で評価する。
  • 4症状のうち頭痛を含み、合計点が3点以上をAMSと定義する。
  • 重症度を次のように提案する。
       軽症:3~5点、中等症:6~9点、重症:10~12点
  • 高地到達後、6時間以降に評価することを推奨する。
    (6時間以内の症状は長時間の移動による疲労や乗り物による影響、低酸素に対する迷走神経反応などが混在しAMSと混同されやすいため、Consensus Committeeでは6時間以降の使用を推奨している。しかし、日本の登山の現状にはそぐわないため、2018年6月1日開催の理事会および社員総会にて6時間にこだわらず使用できることが了承された。その場合、評価のタイミングや条件を明記することが望ましいことを付記しておく。)
  • AMSとHACEを混同してはならない。
    (HACEは高地到達後24~72時間で発症し、AMSやHAPEに合併することが多く、精神状態の変化や運動失調など神経症状を主徴とし、緊急処置を要する。)

レイクルイーズAMSスコアの使用法

  • レイクルイーズAMSスコアは高地医学を専門とする研究者のためのもので、臨床医やプロガイド、非専門家がAMSの診断や治療目的で使用することを意図したものではない。
  • 対象者が自己申告するのみでなく、評価者が質問しながら記入したり、評価者が対象者の記載内容を口頭で再確認することで、均一的な評価が可能となる。本スコアを用いた報告の際は、データの収集方法にも言及すべきである。
  • AMS臨床機能スコアの活用と、これを用いた研究報告を歓迎する。
  • 研究報告では、すべての対象者とすべての症状に関する個々のスコアを公表するよう強く要請する。これにより、病態の直接比較やメタアナリシスが可能となり、生データを評価することは
  • AMSの定義やスコアリングの見直しに関する着想を生むことになる。

Roach RC, et ai. The 2018 Lake Louise Acute Mountain Sickness Score. High Alt Med Biol. 2018; 19: 4-6