「新型コロナウイルス感染症とは」

1.特徴

(ア) 新型コロナウイルス感染症は呼吸器系(鼻・のど・肺など)の感染症です。

① 鼻・のどの感染
症状は軽いのですが、感染力は強いと言われています。
山に来るのはこのような患者さんが大部分かと思いますが、持続する上気道感染後に肺炎を生じることもあり、油断はできません。

② 肺の感染
肺炎から重症化し、生命の危険も生じます。
肺炎では呼吸困難を伴い、特に高地では急激に状態が悪化することが考えられます。

(イ) 感染から約6時間後には気道からウイルスが放出されるようになります。
感染して約6時間後には気道からウイルスが放出される、すなわち他の人に感染させることができるようになると言われています。

(ウ) 感染しても最長14日ほど無症状の時期があります。
この感染症は感染した後、最長で14日程度無症状の時期があります。この時期の感染者は無意識の内に感染を広げ、ウイルスの蔓延を招きます。したがって、誰でも(今、隣で元気そうに話している人でも)、感染している可能性があると知ることが感染予防の第一歩です。

(エ) 有効な治療法はありません。
現時点でこの感染症に対する有効な治療法はありません。ご本人がこのウイルスに打ち勝ち、免疫能を獲得するのが唯一の治癒への道です。病院で重症者に人工呼吸器などをつけているのは、そのような機械で呼吸の補助をしている間にご本人の体力がウイルスに打ち勝つのを待っているだけです。高地では酸素分圧が低い関係で、重症化が急速に進むことも想定されます。

2.症状

(ア) 発熱・咳が中心ですが、臭いや味を感じ難くなるとの指摘もあります。
発熱や咳などの上気道感染の症状は普通の風邪とほぼ同じで見分けることは困難です。

(イ) 全身の疲れ・筋肉痛・頭痛・下痢などを伴うこともあります。
全身の疲れ・筋肉痛・頭痛・下痢なども風邪やインフルエンザの時にしばしば見かける症状です。

3.感染経路

(ア) 接触感染 : ウイルスを含む唾液・鼻汁・涙などに触れた手で何かを触り、その同じ場所を他の方が触った手でその方の口・鼻・目を触ることにより感染します。

(イ) 飛沫感染 : 感染している人のくしゃみ・咳・発声によって空気中にエアロゾル(空気中に浮遊できる、目に見えない微小な粒子)と共にウイルスが排出され、それを吸い込んで感染します。

(ウ) ウイルスは乾燥すると感染能力がなくなります。
ウイルスを含むエアロゾルは大気中では空中に出た後、60~100μmの大きなものでも、2m先に到達する前に乾燥し、乾燥するとウイルスは感染能力を失います。

(エ) 湿気のある密閉された空間では感染力のあるウイルスを含んだエアロゾルが長時間空中に浮遊しています。
大気中では秒単位~1分程度で飛沫核となる(含まれるウイルスは感染性を失う)エアロゾルですが、湿気のある密室では数分から 30分程度浮遊して感染能力を維持します。咳とかくしゃみではなく呼気中に含まれる 1μmほどの小さなものでも長時間感染性を維持したまま浮遊しています。

(オ) 一般に飛沫感染を防ぐために2m互いに距離をとることが勧められていますが、縦列で1時間に4kmのスピードで歩行している場合に、前を歩いている人の飛沫を後ろの人が浴びないためには 5mの距離が必要と言われています。スピードが速くなれば飛沫はさらに遠い人まで到達します。

前のページへ戻る